前回は「新会社法施行!」というところから、今までの会社に関する法律(商法)と比べ、一体何が変わったのか?ということについて、ごくごく簡単にトピックスだけを掻い摘んでお話してみました。
今回は、前回の予告どおり、既存の有限会社についてお話を進めたいと思います。
「えっ!有限会社ってなくなっちゃったの!?」
結論から申し上げます。
「有限会社制度は廃止となりました」というのがお答えです。
今回の新会社法が5月に施行となったことと同時に、既存の有限会社について定めた法律(有限会社法)が廃止されることとなり、本年5月1日以降、有限会社を新たに設立することが出来なくなりました。
既存の有限会社については、もれなく、無条件、自動的に株式会社へと組織の変更をしたこととして存続することが可能です。
「株式会社と有限会社は統合して『株式会社』になりました!」というイメージですね。
ただ、「自動的に株式会社」になりましたよ、とはいえども「株式会社」という組織の中のひとつの形態としての、「有限会社」です。したがって、既存の有限会社はこれまでと同様、会社名は「有限会社○○」若しくは「□□有限会社」のままなのですね。
◆何で「有限会社制度」は無くなってしまったの?
既存の有限会社は、
「(原則として)資本金は300万円以上」
「 取締役は最低1名以上」
「 役員の任期は変更が生じない限り無制限」
というのが主だった規則でした。
しかし今回の新会社法においては、前回のコラムでも少し触れましたが、
「 資本金はいくらでもOK!」
「 取締役も最低1名以上」
「 役員の任期は条件が満たせば最長10年に伸張可能」
と、規制が大幅に緩和され、特に資本金については会社法による株式会社の方が規制が緩やかとなる結果となりました。
新会社法においては有限会社のことを、「特例有限会社」と呼び、既存の有限会社法によって定められていた規則等を継承する一方で、株式会社には認められている「自由な企業設計(機関設計や株式のこと等)」については除外とされるなどの規制もあります。
◆資本金が少なくても株式会社!なら、有限会社から株式会社への変更はできるの?
はい、OK!です。
所定の手続を踏めば、大きな変更事項なくそのままのスタイルで株式会社へと移行することが可能です。
先に「もれなく、無条件、自動的に株式会社に変更しました!」とはお話しましたが、既存の有限会社は、やはり「有限会社」と名乗る必要があります。
せっかく制度が「株式会社」に変更することが容易くなりましたから、「これを期に株式会社へ変更しようかな?」とお考えになる社の社長さんは多いようです。
手続の実際は、
○有限会社の出資者(社員、と呼んでいました。会社法施行後は株主と呼び変えています)が集まり、「株式会社へと組織の変更をしましょう!」と決議し、
○株式会社への移行手続の為の登記(会社の登録)と
○株式会社を設立したことに伴って、既存の有限会社を閉じる手続を同時に、
管轄の役所(法務局)にて行います。
◆株式会社へ移行することのメリットは?
既存の有限会社の社長さんで、今ちょうど「株式会社に移行することは・・どうなんだろう?」とお考えの方がきっといらっしゃることでしょう。私自身、今般の会社法施行によって有限会社の社長さんにお目にかかり、実際に数多くの移行手続のお手伝いをさせて頂いています。
その際にいつもお話している、移行についてのメリットとデメリットをごく簡単に、キーワードでお話します。
『メリット』
○ネームバリューや信用力の向上
(やはり「有限会社」よりも「株式会社」が、より高いネームバリュー、信用力を得ているようです)
○営業力の強化
(信用力から通じるものとしての、営業力が向上しているようです)
○優秀な人材の雇用・確保
(求人募集の際の反応が違います)
○機関設計
(会社の内部のアレンジ方法)の柔軟度向上(より攻撃的・積極的でオープンな会社作りに大いに役立ちます)
『デメリット』
○公告義務の発生
(決算のほか、会社合併などといった会社に関わる重大な事項についての通達義務のことをいいます。ただ、会社のディスクローズを行なうことによって会社経営の透明性を高め、信用力に大きく寄与することでしょう)
○役員任期の発生
(変更がなければ無制限であることに比べて拘束がありますが、これも会社経営の透明性を高め、より良い緊張感を生み出すものと考えます)
○移行に伴う諸事務の発生
(手続が必要となる為、やむを得ません。しかし、一度きりのことですし、場合によっては上手にアウトソースすることもひとつの案です)
次回は「ウチの会社は1円会社!」と題し、既存の「確認株式会社」「確認有限会社」についてお話したいと思います。
ここまでご高覧頂きましてありがとうございました。
次回もぜひ、お楽しみに。
季節はすっかり秋めいてきましたね。
朝晩が涼しくなり、大分過ごしやすくなってきました。
6月決算の企業さんは、ちょうど定時株主総会の時期でもありますね。
さて、第1回から第3回までにかけ、「新会社法が施行されたことによって、一体ナニが変わったの?」ということについて、大まかにお話をしてきました。
今回からは、「新会社法」を実際に利用して、「会社組織をアレンジしよう!」をテーマにお話したいと思います。
そもそも、会社ってどんな組織で成り立っているの?
会社とは、様々な機関で成り立っています。
では、実際にどのような機関があるのかをここで見てみましょうか。
| ■株主総会 |
株式会社の最高意思決定機関で、取締役・監査役の選・解任など、株式会社の組織・運営・管理などに関する重要事項を決定する機関です。 株主総会には、決算期ごとに開催される年1度の定時総会と、必要に応じて随時開催される臨時総会があります。 |
| ■取締役 |
株式会社の業務施行を行なう機関です。 |
| ■取締役会 |
3人以上の取締役によって構成され、代表取締役の選任をはじめ、重要な業務について意思決定を行なう機関です。
|
| ■監査役 |
取締役の職務執行や、会社の会計を監査する機関です。 |
| ■監査役会 |
3人以上の監査役(うち半数以上は社外監査役)で構成され、監査方針の決定や監査報告の作成を行なう機関です。 |
| ■委員会 |
主に大企業において機動的な経営と実効的な監督を可能にするために設けられた機関です。指名委員会・監査委員会・報酬委員会の3つから構成されるため、「3委員会」などと呼ばれることもあります。 |
| ■会計監査人 |
主に大企業において計算書類等の監査を行なう機関です。資格は公認会計士又は監査法人に限定されています。 |
| ■会計参与 |
会社法で新設された機関で、取締役と共同して計算書類の作成などを行なう会社内部の機関です。資格は、税理士・公認会計士などの会計専門家に限定されています。 |
これまでは、株主総会と、取締役、取締役会、監査役のそれぞれを置くことが必須で、これらのいずれも欠けてはなりませんでした。これからは、
・株主総会
・取締役
この2機関はマストアイテムですが、それ以外については会社の規模や株の公開状況に応じて定めて下さいね、という決まりになったのです。
「株の公開って?」
株式とは、割と身近に見聞きする言葉ですよね。 最近は、「デイトレード」が脚光を浴び、実際に株の取引をなさっておられる方も多いと思います。
いつもニュースで目にする株式市場。 この市場に上場している企業は、皆「公開会社」です。
それとは反対に、株の取引を一切していない企業もあります。
特に、中小企業のその大半が株取引は行なわれていないことでしょう。
その会社の株式を取得する場合、会社の承認を得る必要があるという定めのことを「株式の譲渡制限」言います。 その会社が発行する株式について、その全部が譲渡制限株式である場合、その会社は「非公開会社」と呼ばれ、この譲渡の制限が一部でもかかっていない会社のことを「公開会社」と呼ばれているのです。
このうち、非公開会社は株式の流動に制限があって株主が安定している為、会社の定款に定めることによって、会社組織のアレンジ方法や会社内部の細かな規程について、より緩やかであって良いということになっているのです。
さて、次回は「具体的な会社組織のアレンジ方法」そして、今回新会社法によって新設された「会計参与」という機関についてお話しますね。お楽しみに!
さて、前回(第4回)は、これまでお話してきました「新会社法」を実際に利用して、「会社組織をアレンジ!」するための、その機関について大まかにお話をしました。
今回は、前回のお話しを基に、「具体的な会社組織のアレンジ方法」そして、今回新会社法によって新設された「会計参与」という機関についてお話ししたいと思います。
それでは、どんなアレンジ方法があるの?
実際のアレンジ方法をお話しする前に、ほんの少しだけ前回のおさらいです。
会社を司る機関には、主に以下の8機関があります。
■株主総会
■取 締 役
■取締役会
■監 査 役
■監査役会
■委 員 会
■会計監査人
■会計参与
ここでは、日本の企業の大多数を占めている非公開会社(※)の中小企業にスポットを当てて、実際のアレンジ方法の一例を表にしてみます。
(※)非公開会社とは?
その会社が発行している株式の全株式について、譲渡制限株式である会社をいいます。詳細は
前回(第4回)のコラムをご参照くださいね。
組織つくりのパターン
| (1) |
株主総会+取締役 |
最もシンプルスタイルのアレンジ方法 |
| (2) |
株主総会+取締役+監査役 |
シンプルスタイルの類型版 |
| (3) |
株主総会+取締役+会計参与 |
|
| (4) |
株主総会+取締役+監査役+会計監査人 |
対外的信用を重視したスタイル |
| (5) |
株主総会+取締役+監査役+会計参与 |
|
| (6) |
株主総会+取締役会+会計参与 |
|
| (7) |
株主総会+取締役会+監査役 |
旧法株式会社のパターン(基本形) |
既存の会社さんの中で、最もアレンジ方法として多いのは、Fの「株主総会+取締役会+監査役」のスタイルでしょう。
本年5月に会社法が施行される以前は、取締役を3名以上・取締役会を置き・且つ監査役も就任させる、このFのスタイルが株式会社の基本形でした。
しかし、このパターンが必ずしも最良!とは限りません。
これは中小企業に実によくあるパターンなのですが・・「私と両親が取締役、親戚の叔父さんが監査役だけど、実際にビジネスをやっているのは私だけ」という会社さんの場合、「取締役会」や「監査役」が十分な機能をしているとは言いにくく、むしろ「取締役1名で、機能十分!」であることも多いからです。ですから、既存の会社さんでも「できれば・・仕事していない取締役を外したいんだよね」とか、「監査役は前々から要らないかなぁと思ってたんだよね・・」という会社の社長さんから、次々とお問い合わせを受けています。
また、これから起業を!とお考えの方には、会社設立当初はシンプルスタイルにて設立、業務拡大に応じて組織の強化を図るというアレンジ方法が理想であろうと思います。
会計参与について教えて!
前回も少しだけお話をしました「会計参与」ですが、ここでもう少し触れておきたいと思います。
会計参与、という機関は、今回の新会社法の施行に合わせて新設された機関です。
主に取締役と共同して、計算書類及びその附属明細書、臨時計算書類ならびに連結計算書類を作成する役割を担っています。
近年は、多発する企業の不祥事等への反省から、会社の情報開示の正確性・透明性が重視されています。しかし、何も大会社や上場企業ばかりでなく、中小企業においても、計算書類の記載の正確性を打ち出すことにより、株主・会社債権者の保護をはかることが重要なのです。
そこで、会社法では、中小会社を念頭に置いて、専門知識を有する公認会計士・税理士等の有資格者が、取締役・執行役と共同して計算書類を作成し、株主等に対して情報の開示する義務を負わせることによって、計算書類の虚偽記載等を防止してその正確性を持たせ、会社の計算に対する信頼を確保することを目的として、会計参与制度を設けられたのです。
このため、株式会社は公開会社・非公開会社の区別をすることなく、会社個々の任意で会計参与の設置を定款上にて定めることができる、とされています。
さて、次回は「株式会社の、株式について」そして、少しだけ「会社の利益(剰余金)の分配について」お話したいと思っています。 お楽しみに!!
いよいよ2007年の幕開けですね!
良いお年を迎えられましたこと、心よりお慶び申し上げます。 本年も宜しくお願い致します!
さて早速ですが、昨年に引き続きまして「新会社法」についてのお話を進めたいと思います。
年が明けたばかりで気分一新!ですが、「新会社法」のお話は、今回が総ざらいです。
これまで7回に渡ってお話してきましたこと、ポイントだけをかいつまみましておさらいしてみましょう!
◆「会社法になって、ナニが変わったの?」【第1回】
会社を取り巻く、ありとあらゆる事項が大きく変わりました。
例えば、株式会社でしたら1000万円の資本金を用意し、最低でも3名の取締役と1名の監査役をおかねばなりませんでしたが、一気に資本金=1円だってOK!役員も1名からでOKとなりました。となりました。
特に、「アイデアもあるし、会社を創めてみたいけれど、資金がね・・」という方にとっては大変な朗報!となりました。
◆「有限会社、って、なくなっちゃったの?」【第2回】
会社法の中では、有限会社は株式会社の中の一部、という位置づけになりました。
モチロン、既存の有限会社さんは、そのままビジネスを継続することができます!
有限会社という会社組織を新たに設立することは出来なくなってしまいましたが、それも株式会社の組織形態が既存の有限会社よりも、より緩やかになったためなのです。
そして、既存の有限会社は、特段の規制なく株式会社へと移行ができるようになりました!
◆「ウチの会社は1円会社、確認会社はどうなっちゃうの?」【第3回】
はい、モチロンそのままビジネスを継続することができます!
2003年の2月以降、2006年4月まで、最低資本金額(株式会社なら1000万円、有限会社なら300万円でした)を下回る金額の出資でも、会社を興すことができるような、特例がありました。
(この会社のことを確認会社、と呼んでいました)しかし、今回の会社法の施行によって、確認会社であっても資本金の規制を受けないため、そのままビジネスを継続できるようになったのです!
ただし、定款(会社の決まりごとを記した書面、でしたね)の中に定めた「解散事由」の廃止の手続きを踏む必要があります。
◆「会社組織のアレンジ」【第4・5回】
会社には、たくさんの決めるべき事項を決定する機関があります。
しかし、会社の形態によって、その機関をチョイスできたり、出来なかったりするケースがあります。
最もシンプルな会社の機関は、株主総会と、取締役を設置することでした。
これから会社をスタートさせるのならば、まずはこのスタイルから始められることをお勧めします!
・・ちょうど洋服やライフスタイルと同じで、会社の規模・実態に応じた機関を置くことによって、会社が拡大していく際に、その実感を得ることができるでしょう。
◆「株式会社の、株のこと」【第6回】
株式会社、といいますと、当然のように「株券」なる紙が発行されるのかな?と思いがちであろうと思います。しかし、この会社法では、株券を発行しないことが原則となりました。
また、利益の配分についても、これまでは定時配当と中間配当の年2度が普通でしたが、株主総会で決議をすれば、いつでも配当できるようになりました。
◆「LLCとLLPって?」【第7回】
LLCは合同会社といい、アメリカが発祥の日本では新しい企業形態です。
有限責任(出資者が出資の範囲内で責任を負う)で役員の権限や利益配分などを自由に決定することが可能なことが大きな特徴です。当初、株式会社と比較して知名度が高くないために、あまり多く話題に上ることがなかったLLCですが、ここにきて大分増えてきたようです。
他方、LLPは有限責任事業組合といい、特徴としては、LLPは「組合」であるため、いわゆる「会社組織」とは異なります。
また課税方法がLLCや株式会社と異なるのも、大きな特徴です。
以上、駆け足でしたがおさらいをしてみました。
特に会社を興されると、いかにして顧客を獲得し売上を上げていくか、日々のビジネスをいかに効率よく運営していくか、という点に目がいきます。
しかしながら、会社内部の体質も非常に重要です。
会社法、という法律は今年5月施行の新しい法律ですが、貴社を守る重要なキーを持つ法律です。要点だけをかいつまみ知識として得、必要に応じて活用していくことは、必ず貴社の運営を大きく変えることとなるでしょう!
そして、貴社の定款を今一度見直してみて下さい。
この会社法に即した定款の作りになっていますか?
例えば、設立時に役員の員数が足らず、「お願いして役員になってもらった、無報酬の役員さん」などがいらしたりすることもあります。
また、設立時に思案されたビジネスプランから変更し、事業目的のリニューアルが必要な場合もあるでしょう。
定款というのはついつい「会社の設立時に必要な書類」という視点だけで捉えられがちなのですが、まさに「会社の根幹となる決まりごと」を記す、貴社にとって肝となる重要な書類です。
この会社法施行によって、見直しのポイントは幾つも挙がってくる事でしょう。
必要とあれば、私共のような専門家もお手伝いをしていますので、ぜひご相談なさることをお勧めいたします。
いつでも貴社の発展をお祈りしています!
そして、これから新しくビジネスを始めようとお考えの貴殿にとっては、絶好のチャンスといえます。ぜひ頑張って下さい!
8回に渡って連載をさせて頂きました「新会社法」のコラムも、今回が最終回です。
最後までお付き合いいただきまして、誠にありがとうございました!
またいつかお目にかかれます日を、心待ちに致しております!
◆お知らせ!!
山本行政法務事業所では、平成18年4月以前に設立をなさった会社さんのために、定款の見直しのご提案を致しております。
直接貴社定款を拝見しました上で、貴社に最適な定款のアレンジを致しますので、ぜひこの機会にお問い合わせくださいませ。
貴社からのご連絡を、お待ち申し上げております!
ご連絡は、
uu9r-ymmt@asahi-net.or.jpまで。
件名に、「定款アレンジ」とご記入をお願い致します。